米粉の販売価格を大幅に引き下げる補助政策を行った場合、 需要が急増する可能性がある。
そこで問題になるのが、米粉用米そのものの供給だけではなく、 米を米粉に加工する製粉能力である。
農林水産省は、2026年度の米粉用国内産米の流通量を 約6万トンと見込んでいる。
一方、大手メーカーのみたけ食品工業は、 グループ全体で年間約5万トンの米粉生産能力を持つとしている。 鴻巣工場だけでも年間約3.6万トンの能力がある。
つまり、現在の米粉流通量が約6万トンだからといって、 日本全体の製粉能力も6万トン程度しかない、というわけではない。
2024年産の飼料用米は約52.7万トンである。
仮に将来、この規模の生産が米粉用へ転換されると、 現在の米粉流通量約6万トンの約9倍に相当する。
現在の製粉設備だけで、これほどの量を一度に処理するのは難しいと考えられる。
みたけ食品工業の鴻巣工場は年間約3.6万トンの能力を持つ。
単純計算では、同程度の能力を持つ工場が15か所あれば、 年間約54万トンとなる。
もちろん実際には、稼働率、物流、原料保管、 米粉の用途ごとの製粉方法などを考慮する必要がある。
しかし、50万トンという規模そのものが、 製粉技術上まったく現実離れした数字というわけではない。
米粉を大幅に安く販売できるよう補助すれば、 まず既存設備の稼働率が上がると考えられる。
その後も十分な需要が存在すれば、 製粉業者にとって設備を増設する理由が生まれる。
それに合わせて、これまで飼料用米などを生産していた水田を 米粉用米へ転換することも可能になる。
したがって、
米粉の需要増加 → 製粉設備の増強 → 米粉用米の生産増加
という流れが成立するかが重要になる。
販売補助によって需要だけが急激に増え、 製粉能力や米粉用米の供給が追いつかなければ、 一時的に米粉価格が上昇する可能性がある。
そのため、制度開始直後については、 需要の増加と製粉能力の増強の速度を確認する必要がある。